out of の発音はアウト・オブではありません

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out of はアウト・オブではなく「アダ」となります

 

私達は文字を額面通りに読む癖がついているのですが、実際の英語は文字通り発音していないことが多いのです。

 

out of をアウト・オブと思い込んでいると、先方も同じ発音してくれるだろう、と期待しているので「アダ」と言われた時に聴き取ることができません。

 

なぜout of が「アダ」になるのか? を発音記号から分析

 

聴き取れない音は殆どの場合、自分で発音できないのですが裏を返すと自分が発音できるようになれば聴きとれるわけですよね? それならば先ずは発音できるようになることが先決です。そのためには音の分析から始める必要があります。

 

Cambridge Dictionary で out とofそれぞれの発音記号を書き出してみます。

 

out  /aʊt/

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out 1. used to show movement away from the inside of a place or container: 2…

 

of    weak /əvstrong /ɑːv/

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of 1. used to show possession, belonging, or origin: 2. used after words or…

 

「弱形」か「強形」か、を見極める方法

 

こうしてみると of には “weak” と “strong” という2種類の発音があることが分かりますが、どちらを使えば良いのか迷いますよね? ここで重要なことを押さえておく必要がありますが、前置詞は殆どの場合「弱形」つまり”weak”だということです。

 

「弱形」とは読んで字のごとく弱く発音する音、と言う意味です。「強形」は強く発音する音ですが、一般的にofなどの前置詞を強形で発音することは滅多にありません。

 

よっぽど、話者がofを強調したいのであれば、強形で発音することもありますが、先ずは、話者が「弱形」「強形」どちらで発音しているのか確認する必要があります。

 

以下の動画は、”I dropped out of Reed College after the first 6 months,”というセンテンスから始まりますので”out of”の部分を注意して聴いてみてください。

如何でしたか?

“out of” が弱くて速いので聴き取れなかったのではないでしょうか?

 

弱形はゴニョゴニョと聴こえる

弱く速い音はゴニョゴニョと聴こえますので、これは「弱形」だということがわかります。 ですから  /əv/ が適切な発音記号となります。

では、もう一度 out of のスペルと発音記号を並べて見てみましょう。

1語1マスに入れると以下のようになりますが、

スペル out of
発音記号 aʊt əv

 

ここからが、音を繋げるテクニックとなるのでしっかり学んでくださいね。実際の発音は1語1語分けて発音していないので以下のように2語で1塊となりますから空白を取り除き、1語として1マスに入れます。 この時点で、”outof”は1つの単語である、と認識を新たにしてください。

スペル outof
発音記号 aʊtəv

 

ただ、この時点で発音記号/aʊtəv/をそのまま発音すると「アウタブ」のようになりますので、まだ未完成です。

 

母音に挟まれた/t/は Soft d に変化する (Flap T)

実は、母音に挟まれたストレスの乗らない音節での/t/は Soft d (軽いd)に変化するという法則があり、これを「Flap T化」といいます。 

 

発音記号は特殊な/t̬/を使います。/t/の下側に小さい下向き矢印頭 ˬ が付いていますね?

 

スペル outof
発音記号 aʊt̬əv

 

/t/の左は母音/ʊ/、右も母音/ə/なので、母音に挟まれた/t/はFlap T化して/t̬ /となり、発音は軽い/d/となります。 そうすると発音は「アウダブ」となりますね?

 

強く発音する箇所と弱く発音する箇所を見極める

これで終わりではありません。変化はまだあります。ここで強く読む音はサイズを大きく、弱く読む音はサイズを小さくしてみます。そうするとaだけ大きくて他は小さいサイズのままとなりました。どうしてか分かりますか? 

 

スペル outof
発音記号 aʊt̬əv

 

aだけ大きいサイズにした理由

 

①aʊは二重母音なので1つめの/a/を強く、2つめの/ʊ/を弱めに読むという法則があります。だから/a/は大サイズで、/ʊ/は小サイズとなります。

二重母音について更に知りたい方はこちらの記事をお読みください。

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②/ə/は常に弱形なので小さいサイズとなり、弱形に伴う/t̬ /も必然的に弱形となるため、/t̬ə/は小サイズとなります。

 

/ə/について更に詳しく知りたい方はこちらの記事をお読みください。

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③/v/はおまけのような感じで弱形で発音される音なので小サイズとなります。

 

ここまでくると、どのように読むか大体分かってきましたね?

ウダブ」

こんな感じになりますが、更にここから省く音があるんですよ!!

 

弱い音や口の動きがいそがしい音はそもそも発音しない

語末の/v/は次の音を発音する為に、省略されることが良くあります。このセンテンスではout of  の次は Reedが続きます。そうすると /v/の口を作ってから/r/への口の形へ移行するのは大変でなので、このようなときは/v/を省略してしまいます。

簡略化のため以下のマスの中から /v/ を消してしまいましょう。

スペル outo
発音記号 aʊt̬ə

 

如何ですか?  /aʊt̬ə/だけが残りましたね? 

そして極めつけは元々弱い音の/ʊ/さえもほぼ発音しないこともありますので、マスから/ʊ/を消してしまいましょう!

 

スペル oto
発音記号 at̬ə

 

こうして残った発音記号だけ/at̬ə/を発音すると、「アダ」となるわけですね。

でも、良く聴くとSteve Jobsはここまで省略していません。

一歩手前の/aʊt̬ə/ 「アウダ」で発音していますのでもう一度良く聴いてください。

 

標準速度で聴き取れない方は「設定」から音声速度を選択できますので思い切って0.25で聴いてみてください。音が割れるかもしれませんが/aʊt̬ə/ 「アウダ」が聴き取れると思います。聴こえたら、次は0.5で聴いて、最後に1.0でも聴こえるかどうか試してみてください。

 

out of が「アダ」に聴こえるという現実を知り、そのように発音する

リスニングができない、発音ができない、その原因は文字ばかり追いかけているからだということがお分かりいただけたかと思います。今回は2つの単語を1つにまとめた上で変化が起こるパターンでしたが、このような変化は3つの単語でも、単語1つだけでも発生します。

 

様々なパターンがあるのですが、無限にあるわけではありません。基本的な変化のパターンを押さえたらだんだんと感覚が掴めるようになるものです。変化のロジックも押さえた上で、もっと大切なことは文字ではなく音に忠実になる、ということです。

 

そして、聴こえたとおり発音する習慣を付けることが何よりも大切です。文字はリスニングの妨げにしかなりませんので、これからは耳と口を重点的に使うように心掛けましょう(^^♪

 

目で文字を見たり、手で文字を書いたりする習慣を潔く捨てた方が発音・リスニングの上達に繋がりますのでコツコツ練習をしていきましょう♪
 

管理人について

講師 兼 管理人のElenaです。

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最新記事は「第二の故郷フランスを味わう旅にでよう」です。

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