A: 会話練習を継続しながらプロソディを取り入れましょう
ある生徒さんから以下のような質問を受けたので回答させていただきます。
Q: 外国人講師に「発音はいいけどイントネーションがおかしい」と言われました。何をどのように改善すればいいですか?
A:会話練習を継続しながらプロソディを取り入れましょう
外国人講師の言う「発音が良い」という意味は「発音:基本3点セット」ができているということだと思います。私もSさんの発音は基本がしっかりしていると思いますので、次のステップとして「発音:応用3点セット」を学ばれると良いと思います。
「イントネーションがおかしい」という点については、むしろ「プロソディ」を指しているのではないでしょうか。 以下に発音に関する学習項目を大まかに分類しましたので、順番に確認して最後にプロソディの項目をお読みください。
実はイントネーションだけ切り取って発音を語ることは困難です。できれば、全体的にバランス良く「プロソディの中のイントネーション」として習得していただきたい、というのが本音です。そしてプロソディの改善には発音の基本&応用3セットは不可欠です。
こんな広範囲に渡る学習内容を、一気に習得することはほぼ不可能でなので、会話練習で【知識(Input) ⇔ 実践(Output)】を通して習得してください。発音は、実践を通して徐々に身に付くものなので知識を得たら即実践してくださいね!
そして回数をこなすことで発音もプロソディも定着しますので、先ずは正しい知識を身に付けて正しく練習した発音を実践で試してみてください。詳しくはレッスンにてお伝えいたします!
発音: 基本3点セット
・音素・・・母音・子音
・音節・・・母音中心の音の切れ目
・強勢・・・語強勢
発音: 応用3点セット
・連結 (例) Can_I /kænái/ キャナィのように繋がる音
・脱落 (例) I did it. /ai dídí(t)/ のように語末で消える/t/
・同化 (例)Did_you [díd(dʒ)júː] ディジューのようにスペルと違う音になる
リズム: stress-timed language
英語はStress-timed language、つまり第一ストレスを強調し、他は脱力させる言語なので以下の3つの語はほぼ同じ長さとなります。
1音節 kind kindを全体に分散させて1拍に収める
2音節 kindness nessが入る分、kindを短めにして1拍に収める
3音節 kindliness linessが入る分、kindを短めにして1拍に収める
日本語はSyllable-timed language、つまり全ての音節に同じ比重が置かれる言語なので、以下の語はひらがなで書いたように音節の数だけ長くなります。
1音節 カ・イ・ン・ド
2音節 カ・イ・ン・ド・ネ・ス
3音節 カ・イ・ン・ド・リ・ネ・ス
そもそも音節の区切り方が英語と日本語では異なるので、英語をカタカナ表記するのは、そもそも無理があるのですが長さの違いを文字で表す為に敢えてカタカナで書いてみました。
文強勢: センテンス内の強く発音する部分
機能語と内容語
内容語・・・意味のハッキリとした重要な語は文強勢を受ける
(名詞・一般動詞・形容詞・副詞など)
機能語・・・文法的に必要だが比較的重要でない語は文強勢を受けない
(冠詞・人称代名詞・前置詞・関係代名詞・関係副詞など)
強形(強い発音の形)と弱形(弱い発音の形)
文中で普通弱形で発音される語が、強形で発音された場合発音が異なるケースが多々あるが、以下に代表例を示します。
強形 弱形
a /eɪ/ /ə/
the /ði/ /ðə/
to /tu:/ /tə/
イントネーション
文レベルの感情表現に関わるピッチ(声の高低)をイントネーションといいます。
イントネーションは、話者の気持ち「熱意」「怒り」「恐怖」「関心」「無関心」「自身の有無」や、「文のどの部分が重要か」などを相手に伝えます。
下降調・・・平叙文・命令文・感嘆文・疑問詞で始まる疑問文
上昇調・・・yes/no疑問文・形は平叙文だが疑問文・依頼や勧誘の疑問文
プロソディ: ザックリいえば発音以外の全て
- リズム (rhythm / Stress-timed language)
- 文ストレス ( sentence stress / 強弱・強勢)
- イントネーション (intonation / 高低・抑揚)
結論: 何事もそうですが、基礎からの積み上げが最短距離です
発音といっても広範囲にわたることがお分かりいただけたかと思います。
本来は発音の基礎と応用をしっかり身に付けながら、段階的に次のステップに進んでいただくのがベストですが、今は「会話練習」を最優先してください。
「プロソディ」は様々な要素を含んでいるので会話しながら少しずつ取り入れていく、という方法が良いと思います。 外国人講師に指摘された点をメモしておき、いつでも気軽に質問してくださいね。
次回レッスンにてプロソディ(リズム・イントネーション・文強勢)について、更に詳しくご説明させていただきますのでお楽しみに♪